「オレは陛下がアドバイスしてくださったから、まずは宝石店に行って見ようと思う。」
 「女はやっぱり宝石には目がないんだよな。あいつもそうなのかな」
 「少なくともゲルダは宝石が好きでガス」



 一致団結してトラペッタまで買い物に来たエイト、ククール、ヤンガスの3人は宝石店に向かう。

 「エイトはいいよな。王様にアドバイスしてもらえたおかげである程度は決まってるようなもんだろ。俺なんてどうしたらいいか分ったもんじゃねぇ。」
 女の子なれしているはずのククールとは思えないほど情けないセリフである。
 「アッシだってククールと似たようなもんでガスよ。変なところで兄貴にひがまないでほしいでがす」
 どんなことにも臆することなくマイペースであるはずのヤンガスもククールに負けぬくらい情けない声を出している。
 そんな二人を見ながらエイトは苦笑いを浮かべて言う。
 「確かに君達に比べれば一歩前進してるけど、相手は一国の姫だよ。ある程度の宝石はもってるんだから」
 「それを言うなら俺らだってたいして変わらねぇって」ククールは両手を広げてまるでお手上げだと言わんばかりである。
 それもそのはずで、この3人の想い人はそれぞれ姫、お嬢様、有能な盗賊である。ある程度の宝石の類には事欠かない生活を送っているのだ。



 店に着いてからと言うものこの3人、あーでもないこーでもないとひたすら悩んでいる。見かねた店員が「気持ちが込めっていればなんでも喜ばれますよ」とアドバイスを送るほどであった。
 結局はエイトはトロデ王のアドバイスどおりミーティアの瞳と同じ色の宝石エメラルドのネックレスにする事が決まった。
 ククール、ヤンガスも情けなくもエイトの決断に自分も習えといわんばかりにククールはルビーのヤンガスはダイアモンドのネックレスに決めた。
 3人が3人とも真剣であったがために、宝石屋の店員も情がうつったのか、「なんならこれに花を一輪添えたりすればもっと喜んでくださると思う」と色々と教えてくれる。



 「花か〜。女は花には目がないものだからな。」
 宝石店の店員の言葉に刺激されたのかククールはつぶやくように言う。
 「君さっきは女は宝石には目がないって言っただろう」すかさず突っ込むエイトは苦笑いを浮かべていた。
 「でも花と言うのは良いアイディアでガスな。そうは見えないだろうと思うでがすがアッシも花は結構好きでげす」
 ヤンガスの言葉にククールもエイトも頷く。
 「しかし花と一言に言っても色々あるぜ。どんなものが良いと思うんだ?」
 一番女性になれているはずのククールが一番往生際が悪い。エイトもヤンガスもある程度の覚悟を決めて今や晴れ晴れとした表情をしていると言うのにククールだけが今だ落ち着かぬような表情で言った。
 「そんなのその女性のイメージじゃない?」ククールにはこんな一面もあったのかと、苦笑いを浮かべながらエイトは言い切った。
 ヤンガスもそんなエイトに同調するかのように頷いている。
 「じゃあよ。3人で一斉にそれぞれどんな花にしようと思ってるか。言ってみねぇか?」こういうククールは自分の決断にまだ迷いがあるのだろう。
 「ククール、君本当に往生際が悪いね」
 「アッシはゲルダといえばどんな花かくらい決まってるでガスよ」
 エイトもヤンガスも呆れているかのように言う。
 「でもいいよ。一斉に言ってみようよ」何かククールが哀れになってきてエイトがククールの提案を受け入れる。
 「じゃあいっせいの!」



 「ひまわり」
 「ゆり」
 「バラ」



 「あははははははは。ククールだってちゃんと決まってるんじゃん」
 いつもは童顔の割には大人びた行動が多いエイトだが、笑いのツボにはまってしまったらしく腹を抱えて笑っている。
 そんなエイトを見てさすがにククールも吹っ切れたのか同じように声を出して笑い出す。
 道行く人たちが自分達を呆れたように眺めているのも気にせずに3人はひとしきり笑う。その表情はまるで無垢な子供のようだった。





 「さてと、もう遅くなっちゃたからそろそろオレは城に帰るけど、君達はどうする?」
 悩む事を考えて朝早くにトロデーンを出た一行であったが、予想以上に悩み、すでに夕刻を過ぎようとした頃にエイトが尋ねる。
 「アッシはホワイトデーまで日がない事ですし、この足でポルトリンクまで夜通し向かうでがすよ。」
 「悪いけど俺はここで宿を取る。この時間に出てリーザス村に着く頃は真夜中だ。そんな時間に入ったらあいつになに言われっか分らんねぇからな」
 結局は3人三様であるものの、愛しの人への思いは強いようである。





 ―――みんな当日は頑張ろうね。―――
 全員が心の中で同じような事を思いながら別れを告げた。








++あとがきと言う名の言い訳・・・っていうか解説++

 ククールのヘタレ振りが増してますな(^^ゞ
 ま〜なんだか訳わかんない話になってますが、たまにはこういうのもありと言う事にしておいてください(お願い)
 ちなみに次のホワイトデー当日編はいつもの感じでちょっとシリアスチックにいけると思います(本当か?)

 で、エイトがミーティアに選んだエメラルド。
 現代世間一般的にエメラルドといえばおばちゃんくさいと言うイメージがあると思うのですが、実はエメラルドは宝石の女王とまで言われています。
 古代エジプトの女王クレオパトラ7世が「神の石」と証して愛したとされています。
 「恵み深い大地が与えるあらゆる緑色のもののなかで、エメラルドの緑にまさるものは一つもない。太陽も影もこの宝石の光を変えない。」(マルボドゥス「宝石誌」より抜粋)と言われているくらいの宝石なんですよ。意志の弱い女性ではその輝きその凄みをもてあますと言われているところが、偏見としておばちゃんくさい宝石になってるところかな?
 でもミーティア姫ならば大丈夫でしょう(笑)
 ちなみにエメラルドの石言葉は「幸運・幸福・夫婦愛・清麗」ミーティアとエイトにはまさにあってると私は思っています♪

 で、ククールが選んだルビーは石言葉「情熱・仁愛・威厳」まさにゼシカ〜♪ということで勝手に私が決めました。ルビーには炎にまつわる伝説も多くこの点でもメラなどを操るゼシカ向けと(笑)

 ヤンガスが選んだダイアモンドは語るまでもないのですが。。。ダイヤはダイヤでしか切れないといわれるほどの固い石。宝石の中の宝石。ゲルダさんが喜びそうです(笑)
 ただしダイヤモンドの石言葉は「清浄・無垢・純潔・永遠の絆」ヤンゲルにあってるようなあっていないようなそんな感じですね(^^ゞ


 さて、花のほうなんですがわざと誰がどの花を選んだかは書かないでおきました。
 皆さんは私と意見があってるのでしょうか???自分の感じ方と他の方の感じ方が一緒だと嬉しいのですが。。。良ければ掲示板なので書いてやってください(笑)
 花言葉だけ紹介しておきます。

 ひまわり〜あこがれ・情熱・愛慕・輝き
 ゆり〜威厳・純潔・無垢
 バラ〜愛・嫉妬・美





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