++るろうに剣心++
十勇士陰謀編

ここは神爪の里。
我らの力は魔のものにとっては邪魔となる。
我ら一族は誰にも見つからぬようひっそりと暮らす。
それが我らが生き延びる唯一の手段。

第1章〜神爪崩壊

「長老様、兄さん私に話って何?」
今日15歳になったばかりの少女輝である。
名前の通りなんともいえない輝きをはなち、言葉を続ける。
「どうしたのですか?なにか深刻な事なのですか?」
なにも答えない長老と兄、龍也の表情に不安を隠しきれない。
「実はそなたに渡したいものがあってな。」
そう静かな口調で話しながら、長老は重い腰をあげた。
「!!!これは我等が里に伝わる宝、十文字の懐剣ではございませんか?なぜ私に・・・・・?」
輝は救いを求めるように兄を見やる。
「里の外では、今十勇士と名乗るものが我らを探しているらしい。その者たちの目的は伝説に語られる我らの力を根絶やしにすること」
「じゃが我らとて何も抵抗しないわけではない」龍也の言葉を長老が引き継ぐ。
「そなたはその懐剣をもって今は逃げるのじゃ。そして十文字の懐剣と対を成す九字切の太刀を持つ者とともに強くなれ!」
その時遠くから叫び声がきこえてくる。
「十勇士とやらは、別れの時間すらあたえくれぬようだな・・・行け輝。」
長老は輝から目を離し今まで一言も発せず事の成り行きを見守っていた娘、忍に意を決したようにささやく。
「必ず輝を守ってくれ・・・」

「行くわよ輝。なにボーっとしてるの!?さあ早く」
なにが起きたのか全くわからない様子の輝に忍は一喝する。
その言葉にようやく我を取り戻した輝。
「忍までなにを言い出すの?里を捨てて逃げるなんてできるわけないじゃない。皆戦ってるのよ。私も戦う!」
忍はそんな輝の言葉に苦渋の表情を浮かべる。
「輝の気持ちは痛いほどわかる。もし私が輝の立場なら同じことを言うに決まっている。たぶんあなたは神爪で死んだほうが良かったと何度も考えると思う・・・。」
一瞬の間・・・
「でもね、あなたは里の皆の希望の星なのよ。生きて皆の敵を取ってお願い。あなたにはその力があるのよ」
忍はまだ悩む輝を半ば強引に里の外に連れて行く・・・。
里は炎に包まれ、あちこちから悲鳴が聞こえてくる。
輝は反抗する気力もなくなり、忍に手を引かれたまま意識が遠のく・・・。
「ああ、これは夢なのだ・・・」


第2章〜記憶

「私、何をしているのだろう・・・・・・・・・」
「えっ私・・・何者なのだろう・・・・・・・・・?」
何か大きな工場のようなところから煙がもくもくと上がっている。
と、そんなときだったふらふらしている少女にやくざまがいの男数人が絡んでくる。
「おい、ねーちゃん上玉じゃないか!俺達と遊ぼうぜ」
なみだ目になり、廻りに救いを求める少女。しかし誰一人として振り返ってもくれない。
「ねーちゃん、俺達にこの町で勝てるものはいないんだよ、あきらめな」
「やめるでござるよ!!!」凛とした声が響きわたる。
声を発した剣士はあっという間にやくざまがいの男どもを追い払うと少女に振り返る。
「怪我はないでござるか?おろろ、大変な怪我でござるな。拙者は緋村剣心という旅のものでござる。そなたは名はなんと言うでござるか?」
「・・・・・」
少女は答えない。いや正確には答えられないのである。
「わからない。わからない。私は、私は・・・・・」
後は涙で声にならない。
「もしや、そなたは記憶がないのでござるか?」
そういう剣心の視線は少女の腰にまかれている懐剣に興味を奪われている。
この少女にはなにかがある。
このまま別れてはいけない、剣心はそういう答えを出したようだ。
「とにかく、この町はあまり治安が良くない町でござる。少々遠いが東京まで一緒に行くでござるよ。力になれることもあるかもしれぬでござるからな」
東京までの道中はひたすら剣心が話をしていた。
剣心とて自らあまり話をする男ではない。
黙りこくる少女の心を少しでも開かせ、記憶がないなりの情報がほしかった。
しかし、わかったことはきんちゃくぶくろに輝という文字が縫い付けてあったのみ。。。
そして、この輝というのが少女の名前だろうという事だけだった。


第3章〜出会い

東京についた輝は剣心に言われるまま神谷道場の門をくぐっていた。
「安心するでござるよ。ここは拙者が居候しているところでござる。皆よい人ばかりでござる」
そう言い輝に笑いかけた剣心であったが、すぐに不思議そうな表情になる。
「おろ?おかしいでござるな・・・このような時間に誰もいない事はいつもならないのでござるが・・・?」
「とにかく輝殿、楽にするでござるよ。疲れているでござろう」
「いえ、私にかまわないで下さい。大丈夫ですので・・・」
そういう輝だがこの道場の雰囲気、剣心の人柄に和まされ結局は剣心の勧めに従い床に就く気になったらしい。
「遠慮せずにゆっくり休むでござるよ。とはいっても拙者も居候なのでござるが・・・」
輝はよほど疲れていたのであろう。床に就くなり熟睡してしまったようだ・・・

「薫殿といい、弥彦といいなにをしているのでござろう・・・」
とりあえず輝は心配ないと安心した剣心は2人が心配になってきたのである・・・
「ただいま。剣心いるの〜?」
「薫殿!、弥彦もどこにいっていたでござるか?おろ?その男の子は?」
剣心は薫の後ろに控えめにたたずむ少年に目をむける・・・
剣心は当惑していた。この男の子は先ほど自分が連れて来た輝に雰囲気がよく似ているのである。
「あーこの子は、さっきあかべこであったのよ。行くあてがないようだから、とりあえずうちに来てもらうことになったのよ」
「聖と申します。私が住む村が悪人どもに破壊され命からがら放浪するところを薫さんと弥彦さんに助けて頂いたのです」
「詳しい話はまた明日聞くことにするから、聖君とにかく今日は休んで。疲れてるでしょう?」
難しい顔をしている剣心を不思議に思いながら薫は聖を部屋に案内してきたようだった。

「薫殿ちょっと良いでござるか?」
剣心は今日輝と会ってからの出来事の一部始終を薫に説明する。
「拙者が連れて来た輝殿と、薫殿が連れて来た聖とは境遇が似すぎているのでござる。2人の雰囲気が似ているということを考えても偶然にしては出来すぎでござる。世間では何かが起きていると考えたほうがよいでござろう」
「拙者ちと調べごとをしてくるでござるよ。輝殿が起きたらよろしくしてやってくださらぬか?」
「あんなかわいそうな子1人ならず2人も剣心絶対になにか手がかりを見つけてきて!輝ちゃんのことは私にまかせて!」
「わかったでござる。早めに帰ってくるでござるよ」
薫の言葉にそう答え、一目散に道場を後にしすぐにその姿は見えなくなった・・・

4〜6章へ

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送