「なぁなぁバルフレア〜!!!そんな怖い顔ばっかしてるとはげるぞ」



 そんなヴァンの無邪気と言うか無鉄砲と言うか、雰囲気の読めない発言に仲間の顔は全員ピキッと張り付いた。
 帝都アルケイディス侵入後から徐々に下降していたバルフレアの機嫌は古代都市ギルヴェガン後、つまり今が最悪であった。
 不機嫌さを隠しもしない。フランに言わせれば隠せないのだそうだが―――



 皆、バルフレアの機嫌の悪さの原因は分かりすぎるくらい分かっていたので、どうにか慰めてやろうと思わぬでもない。
 心優しきパンネロなどはフランに「どうしたらいいでしょう?」などと訪ねてはいた。
 しかし一番バルフレアと付き合いの長いフランでさえ6年前のバルフレアと彼の父ことドクターシドとの間のいざこざのことはあまり知らない。
 つまり慰めようがないのだ。
 それよりも下手に言葉を発し、さらなる逆鱗に触れることを恐れた。
 「触らぬ神にたたりなし」がパーティー内の暗黙の了解となっていたはずだった。
 しかし、その暗黙の了解はヴァンには全く分かっていなかったということが今しがたの発言で判明したのだった。



 「はげたら悪いか。血筋だろ。」
 ムスッと不機嫌さはそのままでバルフレアはヴァンを睨みつける。
 その言葉にヴァン以外はピキッを通り越して、ビシシッ!とまるで大きな音でもしかねない勢いで固まる。
 ―――血筋・・・確かにドクターシドははげている。妙な所で、ドクターシドへと繋がってしまった。
 パンネロなどは泣きそうな顔をしているし、アーシェは心臓すら止まるのではないか?と思うくらい固まっている。
 バッシュにいたっては、後ろを向いて頭を抱えてしまった。
 フランも表情にこそ出ていないが耳がぴくぴくして、この事態をどう収めるべきか思案しているのかもしれない。



 「金もないしさ、ブルオミシェイスとビュエルバのモブ退治にいこうぜ」
 ヴァンの言葉は大概脈絡がない。
 どうしてそうなるのかさっぱり分からないとばかりにバッシュなどは頭を抱えたまま首を振っている。
 「どうして、そんな遠い所のモブを倒しに行かなきゃならねぇんだ?どうせお前のことだからシュトラールに乗りてぇとかそんな理由なんだろうが」
 一方バルフレアはただでさえ細い目をさらにさらに細くして、呆れたような声で言う。
 「へへへ。ばれた?」
 悪びれもせず頬をぽりぽり掻きながらヴァンはあっさりと答える。
 長い間修理中だったシュトラールがつい先日、直ったので乗りたくて乗りたくて仕方がないのだろう。
 「ばれた?じゃねぇよ。お前の考えることくらいわかんねぇわけねぇだろ。自分の脳みその量を考えてから物を言え」
 言いながらめんどくさそうに席を立ち、さっさとどこかへ行こうとするバルフレアをぎゃんぎゃんと騒ぎながらヴァンは追いかける。
 そんな賑やかな彼に、ぐちぐちといちいち応戦しているバルフレアは先ほどまでの不機嫌さは少しばかり柔和しているようで―――



 置いていかれた恰好の仲間達は一瞬呆けていたが、その後皆それぞれに呟いた。

 「・・・坊やはすごいわ」
 「・・・彼は大物かもしれん」
 「・・・たくましいわね」
 「・・・怖いもの知らずだ」










―――あとがき―――

 シュトラールに自由に乗れるようになってから、やたら乗りまくってる私(^^ゞ
 だってシュトラールかっこいい♪だからヴァン君も乗りたくて仕方がないんだと思った。
 でもこの時期ってバルフレアのほうは不機嫌極まりなくて、色々考え事してるわけじゃん。
 そんな感じで考えてて出来た話。
 そしてギャグのようで基本シリアスな話が出来てしまった・・・本当はもう少しギャグっぽくしたかったんだけど(^^ゞ


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