「俺たち運が良いってことだろ?」


 絶句。この坊やはいまの状況が分かっているのかしら?
 「お前の気軽さが羨ましいぜ」
 バルフレアがみんなの気持ちを代弁したってところかしら?

 この坊やは思った事がすぐ口を出る。
 だけれども、坊やの言葉には棘がない。悪気もない。
 そして何やりみんなを救っているわね。

 帝都に来てから、正確には帝都に向かうことになってから続いていたバルフレアのイライラが坊やが何か口にするたびに和らぐ。
 深刻な顔をしているアーシェも坊やといると年相応の顔になる。



 ドラクロア研究所。

 ここに入ってから、バルフレアの不機嫌さが増す。
 いえ。違うわね。6年ぶりに会う父親に緊張していると言ったほうが良さそうね。
 まだ期待しているのかしら?優しい父親に戻ってくれることを・・・
 坊やのことをガキだガキだと言っているけれど、バルフレアもまだまだ子供なのよ。

 アーシェの緊張が増していることも分かる。
 破魔石を取り返せるのかと不安なのかもしれないわね。

 詳しいことは知らないはずの坊やはバルフレアやアーシェの心情を理解しているのかしら?
 今日はいつにも増しておしゃべりね。
 いちいちバルフレアとアーシェの怒りをかっては怒鳴られている。
 だけれども、坊やを怒ることであの二人から肩の力が抜けている。


 この坊やは天才かもしれないわね。



 でもね、あなた達そんな大きな声でやり取りするのはやめて。
 あなた達のその声でどれだけの帝国兵に気づかれたと思っているの?
 ここから無事に戻れたら、この責任はバルフレアにとってもらいましょうか。










―――あとがき―――

 ドラクロア研究所であきらかに苛立つバルフレアと警戒心を強めるバッシュに対するヴァン君の「運が良い」発言にびっくりと言うからしさを感じた(^^ゞ
 この気軽さ(明るさ)がバルフレアを救ってるような気がするよ(笑)
 それにしてもここら辺あたりのバルフレアの心情考えるとなんか不憫で仕方がないです。


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