夜半過ぎにふと目が覚めたイングズは隣のベットで寝ていたはずのルーネスがいないことに気づいた。
 4人で旅を始めて、かなりの時が経つ。もう知らぬ仲ではない。食べ物の好みも、ちょっとした感情の変化も・・・
 4人の中で一番元気で、暴れん坊で感情むき出しだったはずのルーネスは最近少し大人になった。
 そんな彼を見てイングズは思う。彼にはずっと子供でいさせてあげたかった。
 あんな悲しい想いを抱かせて、それを必死に抑えて普段どおりに振舞おうとすればするほど、心配になる。
 小さなため息を一つ吐き、イングズは立ち上がる。



 小さな湖のほとりに出たときに、探していた人物の姿は案外簡単に見つかった。
 その湖の中に入り、いつもは後ろに一つにまとめている銀髪は下ろされ、全身から水滴を滴らせ身動き一つしないルーネスは、泣いているようにも見える。
 そう感じてイングズは小さく首を振った。泣いているように見えるのではなく、泣いているのだろう。
 あの水滴が涙かどうかはわからないが、心の中では大粒の涙を落としているのはわかる。



 「ルーネス、きちんと寝ておかないと明日に堪えるぞ。・・・だが、泣きたいときには泣いたほうがいい。」
 どう声をかけていいものか思い悩み、それでも一人で泣かせたくなく、そう声をかけたイングズにルーネスははっとして振り返る。
 声も出せずに平坦な表情はまるで感情らしい感情はない。
 心はここではないところにあったのだろうか。
 いたたまれなくなったイングズは、自らが濡れることも省みずに、湖に入りそっと彼を抱きしめた。今の彼は乱暴に扱えば壊れてしまいそうで―――



 「オレはエリアを守ってやれなかった。光のある世界につれてってやるって約束したんだ。約束も守れなかったし、護ってもやれなかったし、オレ最低だよ・・・」
 しばらくの後、ルーネスはぽそりと呟き、あとは言葉にならず小さく嗚咽だけが漏れる。
 激情家の彼らしくもない感情を抑える様は、大泣きする以上にルーネスの悲しみと寂しさをダイレクトに伝えてくる。

 「エリアは自らの使命を全うしたのだろう。この世界とお前を守れて幸せだったのではないかと私は思っている。」
 ルーネスと共にいたときの彼女はとても嬉しそうな顔をしていた。それは紛れもない事実。
 エリアは「光の戦士」ではなく、ルーネス自身を守ったのではなかろうか。息を引き取る直前の笑顔がそれを物語っているのだ。
 どんな慰めも意味がなかろうと思いつつも、言ってやりたかった。彼女は幸せだったのだと―――



 今は分からないかもしれないけれど、エリアは幸せだったに違いない。
 イングズは、まるで一つの言葉しか知らないオウムのように、ルーネスの背をさすりながら、何度も何度も繰り返す。
 彼の心に朝日が登るまで―――








++あとがきと言う名の言い訳・・・っていうか解説++

 FF3(DS版)やっちゃいました♪
 ルーネス×エリア。いや・・・もうエリア死亡後なんで。。。あれなんですが(^^ゞ
 と言うか、初っ端から暗いねぇぇぇぇ・・・
 ルーネス×エリアはもう数本書きたいのですが、何でかしらないけど一番最初にプロットできたのはこれ。
 これのプロット書いてる間に、おぼろげにですがルーネスとエリアが「彼女を光のある世界に連れて行く」約束をした話のプロットが出来つつあります。
 なので、それを書くこと前提で、すでに今回ルーネスに語らせてみました。

 ところで公式ガイドに書いてあった、ルーネス×エリアの省略されたイベントをぜひぜひ見たかった〜!!!

 それと・・・ルーネスとイングズは別に怪しい関係じゃないですよ!!!何気に怪しく見えなくもないけど(^^ゞ
 ルーネスはエリア一筋〜!!!イングズはサラ姫一筋ですから(笑)




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