なんだってんだろう。私としたことが。
 扉の外でヤンガスの声聞いたときにはこのゲルダ様ともあろうものがどきりとしてしまった。
 結局私のところしか来るところがなくなって、詫びいれに来たのかと思ったんだ。
 正直嬉しかった。素直に詫びいれれば私も変な意地張らずに素直に許してやろうと。私の傍においてやろうと思ったんだ。



 なのに、何だってんだよ。あのざまは。
 ひょろひょろとして、見るからに育ちのよさそうな坊やを「兄貴」だなんて呼びやがって。
 「兄貴の大事な馬だから返してくれ」ときた。
 確かに綺麗な馬だったさ。けどよヤンガスともあろう者がたかが馬のために、しかもあんなガキのために頭なんか下げやがって。
 だから、今となっちゃ大人気ないとは思うけど、無理難題吹っかけちまったじゃねえか。



 昔、私のために挑んだ剣士像の洞窟のお宝ビーナスの涙。
 どうせまた、諦めて戻ってくると思ったんだ。
 なのに、なのに。。。あんなガキのためには取って来れたなんて悔しかった。
 だから、だから私は。。。
 あんな意地悪してあの馬返さないって言ったんだ。
 それなのに、大の男ともあろう者がプライドも何も捨てて土下座なんてしやがって。
 そんなに大事なのかよ。あのガキが。あんたの年端の半分も行ってない様なガキの事が。



 あんたは昔、ビーナスの涙を手に入れる事が出来なくて、男としてのプライドが許さねぇって私の前から姿を消した。
 あのときだって、土下座までは行かなくても詫び入れてくれれば私はあんたと一生共に過ごすつもりだったんだ。
 本当はビーナスの涙なんて要らなかったんだ。
 私にとっての一番のお宝はあんたなんだから。。。
 でもあんたは私のためには詫び入れれなくても、あのガキのためにはなんでも出来るんだね。
 もう良い。馬でも何でも持って行けばいい。
 あんたの中に私はもういないんだ。好きにすればいい。





 風の噂で、あんたとあんたの大事な兄貴は暗黒神なんて野郎と戦ってるって聞いたよ。
 そんな大それた野郎と戦ってたんだな。あのときから。
 私のところに帰ってきてくれなくてもいいから、死なないでくれ。せめて同じ地上で生きていてくれ。そう願うよ。
 あんたはもう私のものじゃないんだね。



 そう思ってたときだった。
 あんたが私の所に寄ってくれたのは。
 「暗黒神なんかと戦ってるそうじゃないか」と話をむけると何で知ってるんだと言わんばかりに驚きやがった。
 この女盗賊ゲルダ様も舐められたもんだよ。
 だけどそういうあんたは私の知ってるあんたで安心した。嘘じゃないよ。
 だから、あんたに怒りの鉄球を貸したんだ。
 あんな重い武器私には使いこなせやしない。
 だけど貸すんだと念を入れれば律儀なあんたは戻ってこざるを得ないだろう?





 頼むよ。ヤンガス。暗黒神なんてのを倒したら一目でいいから私の所に帰ってきてよ。
 そのときには私も少し素直になろうと思う。



 「おかえり」って笑顔で迎える練習しておくからね。だから死ぬんじゃないよ。







++あとがきと言う名の言い訳・・・っていうか解説++

 TOPにヤンゲルも推奨とか言ってる割に、ヤンゲルのヤの字もないサイトでしたのでとりあえず書いてみました。
 ゲルダ1人称です。
 ゲルダの印象、ぶち壊してしまっていたらスイマセン(^^ゞ
 でも私の中のゲルダはこうなんです。。。
 っていうか、主人公を散々叩いてスイマセンでした。。。
 私自身主人公大好き人間ですので叩きたくないんですがゲルダ視点で考えるとどうしてもこうなる(^^ゞ

 ちなみにゲルダさんは主人公の事をヤンガスの年端の半分も行かないと言っていますが、私の中のヤンガスのイメージは32〜33歳。
 主人公は19歳の設定ですが、なんせ顔が幼く見えるので、ゲルダさんには15〜16歳に見えたということにして置いてください(^^ゞ

 でもゲルダがにっこりと「おかえり」なんて言ったら結構怖いかも〜(^^ゞ











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