素直じゃないって言うか、意地っ張りと言うか見ているほうが心配だよ。
 ククールとゼシカの二人を見ているといつも思う。
 本人達はどれだけ意識しているのかは知らないけど、お互い気にしあっているのは誰が見ても明らかだ。
 それなのに、いつもケンカばかり。
 どちらかと言えばククールが悪い。本心をごまかすから。でもたぶんククールはそういうふうにしか生きられないんだとオレは思ってる。
 ククールは本気で愛される事を知らない。愛され方を知らない。優しくされ方を知らない。
 本気で人を愛することが、人を求める事が怖いんだと思う。
 だから、いつも遊び人のようなフリをしてごまかしてるんだとオレはそう考えている。
 ククールがふとした瞬間にたまに見せる寂しそうな表情は男であるオレが見ても綺麗だと思う。いつものプレーボーイな作り笑顔よりよっぽど綺麗だと思ってる。
 たぶんゼシカも同じように感じてる。





 ククールとゼシカはお似合いだと思うよ。
 気持ちを言う事すら叶わない恋をしてるオレには羨ましくて仕方がない。
 少しだけ勇気を出して素直になれば良いだけなんだから。
 お互い見えないところでは必死になっているのにね。





 ねぇゼシカ。君が杖に操られている間のククールがどれだけ動揺していか見せてあげたかったよ。
 もちろんオレもヤンガスもゼシカの事心配だったけど、ククールの比じゃなかった。
 ゼシカ知ってる?ククールはね。リブルアーチで杖に操られた君が傷つけてしまった人を必死に看病してたんだよ。
 ありったけの回復呪文を使い、僧侶ならではの知識をフルに使って。寝ずに看病してたんだ。
 死んでしまうかもしれないと思ったくらい深い傷だったけど、ククールによって一命をを取り止めた。
 男の人だったんだよ。ククールがあんなに必死になった姿を見たのは相手が女性だろうと初めてだったけど、男の人相手にあんなに必死になってたって事は考えられる理由はひとつしかないと思わない?

 ―――ゼシカを殺人犯にしたくない―――

 その一心だったと思う。ねぇゼシカ、オレもね回復魔法使うからよくわかってるんだけど、回復魔法って身体に無理がかかるんだ。
 連続で高度な回復魔法を唱えると意識が飛んでしまうくらい疲労感が残る。それを一睡もせずに唱え続けたんだよ。
 愛する事も愛される事も知らないククール。本気になる事を恐れているククール。そんなククールが君のためにあんなに必死に頑張ったんだよ。
 ゼシカはハワードさんのお屋敷の前でオレにお礼を言ったけど、オレは何にもしていない。本来お礼を言わなくてはならないのはククールなんだよ。
 そう言いかけたオレをククールは鋭い形相で止めたから言わなかったけど、ゼシカが杖に操られていた事実をキチンと受け止められるときが来たら話そうと思う。そうでなければククールが不憫すぎるから。





 ねぇククール。君はマルチェロさんの事で頭がいっぱいだったかもしれない。
 けれどね、旅先でマルチェロさんに会うたびにゼシカが君をいたたまれなさそうな瞳で見つめているのを知ってる?
 ゼシカはたぶん、ククールのお兄さんへの気持ちごと受け止めてくれると思う。
 ゴルドでマルチェロさんと別れた日の夜、ゼシカは泣いてたんだよ。君を想ってね。
 あの時はさすがのククールも表情を作る事が出来なかったようで、「一人にしてくれ」って言ってたけど、君を一人にさせてしまったことをゼシカは悔いてたんだと思う。
 一人は誰だって寂しいよ。大好きなお兄さんをなくしたゼシカはそのことを誰よりも理解してると思う。

 ねぇククール。オレもね君の気持ち分ると思う。
 一歩間違えば、オレだって君と同じだったんだから。愛し方も愛され方も知らない人間になってかもしれないんだから。
 オレには幸せな事に陛下や姫やトロデーンの人たちがいっぱい愛情をくれたけど、君にはそういう人がいなかったんだよね。

 ゼシカなら、君を愛してくれるよ。君のそばにいてくれると思うよ。
 勇気を出して本心を言ってみなよ。



 結局、ククール、君は自分ひとりで全てを抱え込んでしまったよね。
 それで無理してオーブ探しの途中に体調崩して、しまいに倒れてしまったときゼシカがどれだけ取り乱したと思う?
 真っ青な顔して泣きじゃくってたんだよ。

 あの時は暗黒神の復活で時間がなかったこともあるけど、オレたちが一緒にいるとゼシカが気を遣うと思ったからヤンガスと二人でオーブ探しを強行したんだ。
 でも本当は苦しげな吐息を吐くククールも泣きじゃくるゼシカもオレはいたたまれなくて見ていられなかったんだ。
 オレたちが帰ってきたときにはなんらかな進展がある事を祈ってた。



 結局、再び合流したときには全く普段どおりに見えた。
 だけど、なんとなく温かみを含んだようなそんな気がしたのは気のせいかな?
 考えてみれば今までオレは君達の事を急ぎすぎてたのかもしれない。
 ククールの凍り付いていた心を溶かすのには時間がかかるのかもしれないね。
 ゆっくりゆっくり溶かせばいいんだよね。いつかゼシカが完全に溶かしてくれるとオレは信じてる。









++あとがきと言う名の言い訳・・・っていうか解説++

 主人公視点、ククゼシです。
 実を言うと、他人から見た話を書くのは私は苦手です。
 でもククールとゼシカを客観的に見た話を書いてみたいな〜と思ったらこうするより他無かったです(^^ゞ
 ところどころおかしな文面とかあると思いますがお許し下さい〜!!!

 ところで、この話の後半部分は「悲痛」「神の手」に繋がってるというか、その間の事と言う事になります。
 中盤部分、杖に操られたゼシカのところは無理やりです。
 ゼシカがいない間、ククールは内心取り乱してたと思うのですよ。
 でもね、私の中ではこれくらいしかかけませんでした。すいません。
 ちなみに杖に操られている人物は、なぜか賢者の血筋以外の人間を襲っていないですよね。。。
 なのに、呪われしゼシカが人を傷つけた設定なんか織り込んでしまってすいません。
 本当に無理やり作ったという印象を与えかねないですね。ま〜無理やり作ったんですけど(^^ゞ
 リブルアーチには野次馬見たいのがいっぱいいたので、そのなかでとばっちりを食ってやられたと言う事にして置いてください。

 ふ〜ところで、この話を書くと逆にククール視点主姫を書きたくなる自分がいる(笑)





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