厳しい表情で向かい合う6人の天使軍のヘッドたち。
 神帝隊のリーダー聖Vヤマト、知将と呼ばれている聖Gフッド、その補佐役こと聖Y牛若、何事においても臨機応変に対応できることで有名な聖O男ジャック、そして、猪突猛進な完全なる戦闘タイプの性格をしている聖Iアリババと聖B一本釣である。
 もう一人、彼らの仲間で男ジャック同様冷静で臨機応変な対応のできる聖Rピーターは今日は非番である。
 戦況が混沌とする中、休みは要らないと申し出る神帝たちを、休みも必要と宥めに宥めたのは彼らの主君のアンドロココだ。
 そんなわけで、休みのピーターを除く6人は作戦会議中である。
 「あそこでは死者が何人でた」「こっちでは悪魔の攻撃が盛んで没落寸前」だの、良い報告はあまりない。
 たとえ「天聖軍の圧倒的勝利」と言う報であったとしても、悪魔軍には死者やけが人が出たわけで、「天使も悪魔もお守りも平和に暮らせる世界」を夢見ている神帝隊にとっては素直に喜べるものでもない。
 とりあえずの戦況報告を牛若が告げると、全員が揃いも揃ってさらにさらに厳しい表情になり、その後一斉に小さなため息を付いた。
 毎日のように繰り返されるそのため息に、苦笑いがでるばかり。





 そんな時、廊下でドタバタと音がする。「何事?」そんなことを思う間もなく、ドバタンとドアが開き、そこから顔を出したのは休みのはずのピーターだった。
 彼は仲間が傷つけられたりすればぶち切れて手がつけられなくなるときもあるが基本的に冷静で、戦闘中ですら自然とかっこつける。
 余談だが、天使やお守りの中にはファンクラブもあるくらい、神帝隊の中のアイドルさんである。
 そんな彼なのだが、なぜか今は切羽詰っている表情だ。


 「アリババ!」
 ズンズンと大またで、夢の神帝に近づいたかと思うと、何を思ったか彼の肩を揺さぶり始めた。
 「はい!?」
 なぜかお行儀よく返事をするアリババであるが、その瞳は戸惑い以上の何者でもないと語っている。

 「僕今ね、夢を見たんだ。とってもかわいい、小さな女の子と一緒にいる夢。この子ってさ、僕の子供かな?ねぇアリババ!どう思う!?」
 だんだんと声のトーンが大きくなって、なにやら鼻息まで聞こえそうであるが、そこで全員納得した。夢に関することはアリババに聞くのが一番手っ取りはやい。
 そして、そんな仲間の能力のこと以前に実は自分達にも身に覚えがあったから。



 「私は、ぷにぷにっとしたかわいらしい女の子の夢を見ましたよ」
 そう言うのは満面の笑みの牛若。
 「おいらはくりくりした大きな目の女の子だったぜ」
 と、そう続けたのは男ジャック。
 「切れ長な瞳で、かわいらしい三つ編みのかしこそうな女の子だった」
 少しばかりほおを緩めて嬉しそうなのはフッド。
 「オレは小さなかわいい女の子と一緒に釣りしてる夢だった」
 どこまで行っても釣りなのかと全員から白い目で見られるのは当然のことながら一本釣で。
 「え・・・みんな女の子なの?ボクはちょっとドジな男の子の夢だったよ」
 一人不思議そうなのはヤマトである。



 わいわいがやがや、先ほどまでの真剣な表情はどこへやらで、語り始める神帝たちは、それぞれに笑顔笑顔。
 「で、アリババ。どうなのさ?」
 平和な世界で自分達にそっくりな子供達と遊んでいる、それらの夢が正夢であってほしい。
 そんなピーターの問いかけと共に全員一斉に未来視の能力を持つ仲間に視線が集める。
 彼に向けられるきらきらな6人分の瞳は、希望、願い、そして期待が交差している。

 「俺の子供はね。男の子だよ。天馬のように空高く羽ばたいてほしいから、ペガって名前にするってもう決めてるんだ」
 グッと握りこぶしまで作って力説するアリババは、気が早いことこの上ない。
 答えとしてはかなりの間接的であるものの、そのセリフは『みんなの夢は正夢だよ』と暗に語っていた。





 「ボクたち、パパになれるんだね〜」
 一瞬の沈黙の後、ヤマトが感慨深くつぶやいた。
 戦うために生まれた神帝たちとて、基本的には戦闘は好まない。できれば平和な世界で平和な時を刻みたい。
 近い将来なのか、まだまだ遠い未来かはわからないが、長い間の願いがかなう。
 にへら〜としまりのない顔の今の7人は、天聖軍最強の神帝隊のものとは思えない。一般の天使やお守りには見せられたものじゃない。
 全員が、まだ生まれてもいない子供のことを想像して、既に親ばか丸出しなのだから。





 「さあ、楽しい話はこのくらいにして、今は頑張りましょうよ」
 牛若のそんな言葉に、作戦会議中であったことを思い出す。
 「じゃあ。僕はもう一度かわいい娘の夢でもみてこようかな。」
 本日休みのピーターのそんな言葉に、みんなは少し羨ましそうで・・・自分もかわいい娘(息子)の夢をみたいと思うのであった。








 「ところで、ピーターの奥さんは誰なんだ?」
 超ご機嫌に部屋を去っていったピーターを見送った後、ふと思いついたかのような、それでいて非常にごもっともなフッドのつぶやきに、アリババ以外は動きを止める。
 「それは未来のお楽しみでしょ。」
 ニコリとウィンクしながらいたずらっぽく微笑んだアリババに、皆は頷くしかなかった。
 その笑顔は、間違いなく皆の疑問の答えを知っている。けれど誰もその答えを聞き出そうとはしなかった。
 結構、もてるくせして特定の彼女を今まで作らなかった、神帝隊一の美男子のハートを射止める女の子のことを酒のつまみにすることを楽しみにして―――











―――あとがき―――

 緋月ゆきさまのお誕生日記念に書かせていただきました♪
 今年は、二人目のお子様が生まれるゆきちゃんですから、どうしても子供の話にしたかったのです♪
 無理やりな感が否めないのは、ご勘弁を〜(^^ゞ
 ということで、お誕生日おめでとうなのです〜〜〜ヾ(@⌒▽⌒@)ノ

 アリババの未来視能力は私のオリジナル設定もいいところなんですが・・・
 公式設定すら覆して聖魔和合後、神帝隊が生きている設定にしているので、もう何でもありと言うことで(^^ゞ

 ところで、ピーターの奥様はだれ?ピーターファンのゆきちゃんご本人と言うのはだめですか?(爆)
 っていうか、ゆきちゃんの旦那様に怒られそうだわ(笑)


novel部屋へ 虹館TOPへ
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送