―――俺は二度と次界には帰らないはずだった―――


 曼聖羅で目を覚ましたアリババは自分だけが奇跡的に虹層球から助かったと聞いた。
 「自分だけ」と言う言葉にアリババがどれほどのショックを受けたかは計り知れなかった。
 なぜ自分だけ皆と共に死ねなかったのか・・・回復しない体で毎日悩み続けていた。
 仲間達のいない次界へは帰りたくない。






 「ペガ次界へ行きましょう」
 すっかり曼聖羅の人間として曼聖羅で守護を表すペガの名をもらったアリババは、守護するオリン姫の決意を耳にした。
 神であるメディアが次界攻撃の準備を始めていることは、当然アリババも知っていた。
 ペガの語る「次界を目指す勇者と7人の少年」のおとぎ話が大好きなオリンは次界がなくなることへの反発が強かったようだ。
 母メディアに残酷なことをしてほしくないと言う思いもあるのだろう。


 次界へ―――
 昔の仲間達がいない次界へは行きたくない。その想いがアリババの心を占める。
 つらすぎるんだ次界は―――
 それでいて曼聖羅の人間になってからも何度も夢見た次界。
 仲間と共に作った次界がなくなるのも耐えられなかった。
 アリババは、その結論に達したときに、不安げな瞳でじっと見つめるオリンに大きくうなずいていた。





 聖ワッP・・・言葉を失ったオリンを守るため姿を変えたペガアリババの次界での呼び名。




 「聖コインつぶて〜」
 曼聖羅で理力も高まった今のアリババには多少の攻撃は受け付けない・・・
 それでもペガアリババはこの技には一瞬怯んだ。
 その怯みを見て取ったかのように5人組の女の子から一斉攻撃を受ける。
 「セントフック〜〜〜」「リンリンごうたく!」「聖笛」「星氷剣」
 このくらいの技に負けるペガではないことはよく知るオリンは、ペガの動きの鈍さに不安を隠せないでいるようだ。
 そのオリンの不安な心を感じとってもペガは動けなかった。


―――仲間達は生きているんだ―――


 男ジャック、君の気の強さはキチンと受け継がれてるんだな
 ピーター、綺麗なもの好きだった君のルーツらしい綺麗な赤と星を身にまとった子だな
 牛若、よく女性だと勘違いされたくらい美人だった君のルーツはやはり美人だな
 一本釣、男の中の男だった君のルーツが女の子なのは笑えるよ。
 フッド、礼儀正しく何事にも丁寧だった君の心はこの子からも感じられる。



 「ヤマトウォーリアさまの命令でちゅぴ〜」
 牛若そっくりな顔しながら、いつも控えめだった牛若からは考えられないくらい元気な女の子の言葉にほかの4人もうなづいている。

 ヤマトもいるのか?


 本来の仲間はいないけれど、次界は俺が守るよ。
 大丈夫、絶対に守る。
 一緒に旅してた頃の記憶がなさそうなのは残念だけど、その分俺がみんなと共に作った次界を守る。
 たとえこの身がなくなろうとも、次界とみんなは守るから。





 オリン姫、あのおとぎ話は本当にあったことなのですよ。
 次界を夢見ていた少年達のために力をお貸しください。
 あなたも俺が全力で守るから―――






 みんなのいない次界。あれほどまでに拒絶した次界。
 でもやっぱり綺麗だな。








―――あとがき―――

 少しばかりわけわかんなき話が出来上がりました(^^ゞ
 妄想の中ではもう少し、まともな話だったんですけど・・・
 自分だけ生き残ったことを知ったアリババがどれほどのショックを受けたかは計り知れないです。
 ワッPとなってオリンと共に再び次界へ戻るとき・・・
 次界でベイギャルズを見たとき、どんなきもちがしたんだろう???と思うと切ないです・・・


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