曼聖羅を追放されたオリン姫と共に再びやってきた次界。次界を曼聖羅を護るために再びやってきた。
 次界でのオリン姫の仲間であるマルコたちと合流せねばならない。
 真の姿でマルコたちに会うことを躊躇する姫様だが、もう隠し通すことは不可能だ。
 しかしマルコなら、ロココ様を思い出させる純粋な心とマリアを思い起こさせる強き瞳を持つマルコなら、ずっと姫様を守ってくれたマルコなら絶対に分かってくれる。協力してくれる。俺はそう信じてる。



 「プッチー?」
 やっぱりね。
 洪水に飲み込まれそうになってるマルコたちを姫様と共に助けた俺は、意識を回復して呟いたマルコの言葉に心の中で微笑んだ。
 恐る恐る頷く姫様の変わりに俺は彼女が曼聖羅の姫である事実を説明する。
 しかしマルコはあまり興味がなさそうで、大好きなプッチーが帰って来ればそれでいいというわけか。なんとも平和的なお人だ。



 「曼聖羅の姫だって?」
 「次界を滅ぼしにきたんでちゅぴ〜?」
 「曼聖羅の姫なんて生かしておけないだわさ」
 「次界を守るのは私達の使命でございます。」
 「次界は曼聖羅のものにはならないじゃん。」



 相変らず仲の良いことで。同時に叫び姫様に攻撃をしかけようとするベイギャルズの5人には苦笑いが思わずこぼれる。
 しかし、今の俺は姫様のナイト。今の俺が守るべきものは紛れもなくこのオリン姫様だ。
 「姫は次界を護るためにここにきたんだ。姫を傷つけるものは許さない。」
 そう。姫様を護らなければならない。たとえベイギャルズ・・・友たちの魂を引き継ぐものたちが相手でも一歩も引くわけには行かないんだ。俺は。
 ごめんな。みんな。お前達の気持ちはよく分かるけど、お前達だって次界を護るための行動だってよく分かってるけど。ごめんな。



 「いいのです。ペガアリババ。あなたに彼女達を傷つけることは出来ないはずよ。あなたはずっと彼女達を見守ってきたのでしょう」
 よく分かってるな姫様は。ベイギャルズの中にある魂と俺との関係を。
 そうだよな。いくら姫様のためでも俺にはこいつらを傷つけられない。
 はるか昔、俺がゴーストアリババだったとき俺の命を助けるために己の命を捨てようとしてくれたんだ、こいつらの魂は。
 俺には護るべきものも、護らなければならないものも多すぎるのかもしれない。
 姫様も友の魂もマルコも次界も曼聖羅も全てを護りたいんだ。
 気づけばベイギャルズに向かってこう言っていた。
 「オリン姫は本当に次界を護ろうとしている。信じてほしい。俺はオリン姫の守護者のペガアリババ。姫を信じてくれるなら俺の命は全て捧げる。だから姫様は傷つけないでくれ」
 それしか言いようがないんだ。姫様もベイギャルズも俺の大切なとても大切な人なんだから。みんなを護れるなら俺の命は惜しくない。



 「・・・ペガアリババ・・・あなたはもしやアリババ神帝様では?」
 それまで黙って成り行きを見ていたベリーオズのそんな呟き。ビックリした。
 なんで俺のこと知ってるんだ?考えが顔に出たようで「歴史の教科書に出てる」と自信満々に答える。どんな書き方なのか非常に気になるものの俺の事知ってるなら手っ取り早い。そう思って俺は頷いた。



 「難しいことはよくわかんねぇけど、プッチーとワッPが戻ってきたんだからそれでいいだろ?」
 緊迫感すら含んでいた俺たちに、のんびりと言い放ったのはマルコ。しかも俺がワッPだと言うことまで感ずいてたのか。本当に恐れ入るぜ。このお坊ちゃまには。純粋と言うかなんと言うか。

 「そうでございますね。ワッPのことは昔から知っているような気がしていたでございます。」
 「それはアリババ神帝様だったからなんだわさね。」
 ミネルンバとセレンスの言葉にボルカンヌもメルクリンもベスタニャも納得したかのように頷く。
 それを見て俺は危うく、涙が出そうになった。
 長い間の曼聖羅生活で、悲しいも、寂しいも、嬉しいも、楽しいも全ての感情を封印したはずなのに、記憶も何もないはずのこいつらのセリフには全てが報われたような、そんな気がする。





 ―――護りたいものも護るべきものもたくさんあってもいいんだよな。―――








―――あとがき―――

 新ビックリマン49話「死をかけた真実」の回は、数少ない神帝因子の絡み・・・なんですけどね(^^ゞ
 なんですけど、これと言ったエピソードはなし(さみしい)
 ベイギャルズはともかくペガには昔の記憶バリバリあるはずなのに〜!!!
 と言うことで脳内補足がこれとなります(笑)
 4月発売の「アレキサンマルコの章」に収録される回ですので、それが発売されてからにしようかな?とかとも思ったんですけど、出来てしまったので先にアップさせてもらいました。
 それにしてもペガアリババには護らなければならないものが多いような気がします。
 私はアリババを護りたいけどね!!!


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