「はぁぁぁぁ〜???」
 聖Rピーターのいつもの綺麗な笑顔での話に聖O男ジャックは素っ頓狂な声を出す。
 「今日の見張りはアンドロココ様がお引き受けくださったよ」
 相変らず笑顔なピーターに男ジャックは「なんでロココ様にそんな迷惑を・・・」と言ったきり口を半開きにしたまま固まった。





 「悪魔軍の攻撃がこれだけ頻繁で脅威な今、そんなことを言い出すのはなにか理由があるんだろう?話せ」
 男ジャックの意見がごもっともだと言わんばかりの聖Gフッドは少々不機嫌に問いかける。
 「ピーターだって今の状況が分かってないはずない。しかもロココ様まで巻き込んでるってことは・・・アリババかい?」
 聖Vヤマトは何かを察したかのように真面目な顔でぽつりと呟いた。





 ―――今日は神帝隊全員で同じ部屋で昔みたいに寝ようよ―――





 事の起こりは聖Rピーターののほほんとした突然の提案だった。
 「何かあったんですか?」
 ヤマトの呟きにはっとなって聖Y牛若が尋ねてくる。
 一息ついて目を閉じていたピーターの再び開いた瞳は先ほどまでの笑みはどこにも無かった。
 「さっきまでアリババと話してたんだ。」
 やはりアリババか・・・全員が息を呑む。先ほどまでは馬鹿馬鹿しいという顔をしていた男ジャックや聖B一本釣までもが・・・
 「ここにいることが夢じゃないかと思うときがあるんだって。目が覚めたら天聖界の病室にいるんじゃないかって思うときがあるんだって」
 ふと視線を下に向けたピーターの顔は非常に厳しく泣きそうだった。
 「アリババ・・・笑ってた。あんな仮面みたいな笑顔だけうまくなっちゃって・・・仮面の下にある苦しみ考えたら泣けてきた。」





 アリババ以外の6神帝が揃ったこの部屋は静まり返っていた。
 どんな言葉を発していいのかわからずに言葉を失っていたと言うほうが正しいのかもし知れない。
 「やっぱり辛いんだな。あいつ・・・」
 自嘲気味に呟いた一本釣の言葉に今の全員の心が反映されていた。
 「今日はみんなで一緒に寝ようか。なんにも考えずに未来の幸せだけ考えて寝よう」
 そんなヤマトの言葉に全員が無言でうなずいた。







 「アリババ〜。そんなに怒るなよ〜〜〜。」
 神帝隊最強戦士であるヤマトの情けない声が響く。
 「なんだよ!それ!どうせ俺に気を使ってるんだろ?だから嫌だったんだよ。」
 アリババは神帝隊の中で一番敏感で勘が鋭い。
 「みんなで一緒に寝ようよ」と提案してきたヤマトの真意が先ほど自分がピーターにした話に由来すると感づいている。
 まさか、たったあれだけの話からロココや他の神帝にまで迷惑かけるとは思っていなかった。
 「ピーターのおしゃべり!!!」
 アリババ特有の頑固さと短気と強さとを全て爆発させて叫ぶ。
 「なんのことさ?今日の見張り登板のヤマトが休みたくて休みたくて仕方がなかっただけだよ。」
 そしらぬ顔で言うに事欠いてヤマトのせいにするピーターにアリババはもちろんヤマトまで呆れて物が言えないでいる。




「もう良い。好きにしろ」
 呆れたのか疲れたのか、がっくりと肩を落として部屋を出ようとするアリババは扉を前にして、皆に背を向けたま最後に小さな小さな声で一言だけつぶやいた。




 「・・・ありがとう。もうたぶん怖くない。」
 








―――あとがき―――

 先日アップした「羽」の裏バージョンとも言うべきものです。
 意地っ張りで頑固で照れ屋なアリババがおとなしく皆と一緒に寝るなんて賛成するわけないな〜!とか思ったら経緯を書きたくなりました(^^ゞ
 ということで、私の小説の中では今回フッド、牛若、一本釣が初登場です(笑)
 みんな個性豊かで動かしやすいキャラですね(笑)


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