「絶対に絶対に反対です。誰がなんと言おうと反対です。」



 いつも冷静なアンドロココが怒鳴るようなそれでいて必死に叫ぶ。
 今朝、天聖界のリーダーであるスーパーゼウスから聞かされた話はあまりに非情であった。

 長い間、天使も悪魔もお守りも仲良く暮らせる夢の世界と思っていた次界。
 だが、争いが絶えない天使と悪魔に神がお怒りになったのだろうか。
 苦労の果てにたどり着いた次界は、荒れ果てていた。土地は乾燥し干上がり、草花が生えることすら出来ないところすらある。
 天使と悪魔の争いが激化する中、それでもどうにか平和的解決を願うロココにとっては次界最奥の地、久遠域に行くことは夢でもあった。その方法を天聖界にいるシャーマンカーンに依頼したのは他でもないロココ自身で、どんなに困難な方法であったとしても、やり遂げる自身はあった。
 しかし、カーンの見つけた方法はあまりにも非情であった。





 「久遠域に行く方法は一つ、7色の虹をかけるのみじゃ」
 いつもジョークを欠かさないゼウスの震える声に、ロココは背筋が凍りつくような思いで聞き、傍らに控えていた神帝隊は己らの運命を悟った。
 「7色の虹」その意味するところは神帝隊が命をかけて先陣を切るという意味だ。
 ロココは全く気付いていなかったようであるが、先日パワーアップした7神帝には薄々気付いていた。己らの半身がそれぞれ虹のパートカラーに染められているその意味を。

 ロココは思う。若神子として子供の頃からみなのために戦ってきた神帝たちは人一倍、平和への思いは強い。平和な世界で暮らすことを夢見ているとこは長い旅の間で気付いている。
 しかし、ゼウスの言う平和はその神帝たちの犠牲の元に成り立つという。
 「みなさん、私は絶対に反対です。他に方法があるはず。絶対に早まったまねはしないでください。」
 ロココの切実なまでの願いに、神帝たちは己らの運命以上に切ないものを感じ、軽く頷きながら部屋を後にした。





 「ロココ様には内緒で逝こう」
 まるで、どこかに遊びに行くかのようにあっさりと言い切った聖Vヤマトの言葉に他の神帝たちは苦笑いで頷いた。
 「神帝としての力はこれで全て失われる。けれど、魂はずっと生き続けるんだ。俺たちは2度3度とめぐり合う運命さ」
 軽い調子で言ったのは未来視の能力を持つ聖Iアリババで、そんな彼の言葉に皆は今度は満面の笑顔で頷いた。
 再び皆にめぐり合えるなら、みんな一緒ならば、虹になることは怖くはない。





 ―――僕たちの夢は平和な世の中にすること。夢を夢のままでは終わらせない―――




 平和を夢見た7人の青年達は人知れず、夢の橋をかけた。
 また出会うときは、敵対関係であることはアリババの胸のうちだけにしまわれた。








―――あとがき―――

 「夢を夢のままでは終わらせないは「Be With Me!」からの微妙なパクリ。
 正直SSとしてはあまり意味のない話でありますが、復活の腕ならしに1つ。






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Photo by.空色地図

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