※ハピラキ放映途中で書いたものなので最終回終了後である現在は矛盾しまくってます。
 ・・・というか、全部が矛盾してます(^^ゞあしからずです。







 ―――死にたくないと願うことはいけない事ですか?―――





 「ねぇ、僕思うんだけど最近のアリババ暗いよね。」
 争い真っ只中の聖フラダイスの神帝隊の休憩室で、先ほどまで考え込んでいた風だった聖Rピーターがふと声を発した。
 同じ部屋の片隅で各地から送られてくる報告書に目を通していた聖Gフッドは、視線をピーターのほうに向ける。
 その動作だけで返事はなかったが、彼の瞳は明らかに同意と肯定を示しているのを悟って、ピーターは言葉を続ける。
 「パワーアップして喜んでるのかと思ってたんだけど、様子がおかしいのは聖Iになってからだよね。」
 たしかに、とフッドは思う。
 アリババが療養している間、他の6人はそれぞれパワーアップをしていた。
 ヤマト爆神、聖遊男ジャック、聖霊牛若、聖界一本釣、そして聖幻ピーターに聖豊フッド、天使軍の力が増したことはアリババにとっても喜ばしいことだったと思うが、その反面、パワーアップから遅れ、一人神帝姿であった彼は悩み苦しんだはずだ。
 実際に彼が弱音を吐くことはなかったが、仲間達はその苦しみを分からないほど安い付き合いではなかった。
 だから、皆、大きな翼を得たアリババの姿を見たときは、自分たちがパワーアップしたことすらそっちのけで、再びペガサスになった彼の姿に大喜びしたのだ。
 だが、その直後からだ。ペガサス本人はたまに考え込むような、ふとその瞳に暗い影を落とす。それは一人パワーアップから遅れていたとき以上のように感じる。



 「ここで、言っていても仕方がない。だが、本人に直接聞いたところではぐらかされるであろうな。」
 やれやれと言った風情で呆れたような物言いであるフッドも、内面ではアリババのことは心配しているのだ。もっとも猪突猛進で行動し始める彼に、目を光らせているとも言うのであるが。
 しかし彼は一見すると猪突猛進行動なのだが、その実、「苦しい」「悲しい」「辛い」そんな弱音は仲間達にすら一切はかない。
 それは仲間を信頼していないからではなくて、仲間に余計な心配をかけたくないと言う彼の優しい心の所為。だから、今回も聞いたところで絶対にはぐらかす。

 「僕、次アリババと一緒の見張りだから、聞いてみようかな?」
 どうせはぐらかされるなら、あえて聞かないことを選択したフッドに対して、一応首を突っ込んでみようと思うのがピーター。







 ―――みんなと仲良く暮らしたいと夢見てはいけませんか?―――



 自分はつくづく、考えていることが表情に出るんだな、と与えられた自室のベッドでアリババは苦笑いを浮かべた。
 幼い頃から夢の若神子として育ち、夢見の力を使いこなす修行もしてきた。ここに来て、その修行が全て裏目に出たような気がする。
 聖Iにパワーアップしたことによるためか、自分の夢見の力もそれに伴って強大化した。

 未来視

 パワーアップ過程で初めて見た未来は平和な次界だった。天使と悪魔とお守りが手と手を繋ぎ笑いあっている世界。
 その時はまだ、それが何れ来るべき未来だとは気づかなかったけれど、その光景が嬉しかった。それが長い旅の間、ずっと信じていた世界だったから。
 だが脳裏に浮かぶ未来の次界には、自分はいない。自分たちはいない。
 やがて知った。平和な次界は自分たちの肉体と引き換えであろうことを。
 「死にたくない」そう思うことは、罪。そんな自分勝手な思考は誰にも言えるわけがない。
 昼間ピーターに問われたとき、つい露呈しかかった。全てを暴露してしまいたかった。でもそれすら罪。
 他の6人も、おのずと知ることになるであろうが、自らの口からは言えなかった。







 ―――死にたくない。みんなと別れたくない。―――



 自らの肉体が徐々にインディコブルーに染まり消えかかったとき、アリババは全員の心が一致していたことを知る。
 罪人が自分だけではなかったことに少しばかり気が楽になると同時に、死への恐怖が最大限に高ぶった。





 ―――死にたくない。みんなと一緒にいたい。みんなと一緒ならどんな世界でもいい―――



 『聖Iアリババよ。そなたらの魂は再びめぐり合う。しかし、その時はそなたらは仲間ではなく敵だ。どんな世界でもいいならば、皆と共にやりなおしてみるか?そなたには、それが出来る』

 どこからともなく聞こえる謎の声。それはアリババの脳裏に直接響いているようかのようだ。
 しかし、彼には分かっている。未来視なんて能力があるために、謎の声の言う『敵』が本当のことであることを―――
 気づけば心は決まっていた。皆と共にいられるならば、どんな世界でも、どんなに苦しくたって構うものか。



 『そなたは未来で時空を超える力を身に付ける。その力を今、一時的に授ける。時を超え、はるか昔の世界に行け。皆と共に』








 「あいたたた。あれ?ここどこだろう。と言うか俺って誰なんだろう?」
 きょとんとした顔で、小首をかしげる小さなペガサス。
 散々考えても、結論は出なかったのか「まぁいいか」と軽く一言つぶやいた後、ペガサスは4本の足で元気に走り出した。
 そんな姿は何一つ穢れを知らない無邪気そのもの。








 小さなペガサスを彼の仲間と共にはるか昔の世界に送り込んで、意識を自分の世界へと戻す。
 最強の力を手に入れた今でも、さすがに意識だけを過去の世界へと移動するには疲れる。ふぅと小さなため息をついた。

 「どうしたのさ?デューク様らしくもなくため息なんてついちゃって」
 牙を生やした絶世の美女は少しばかり呆れた様子で尋ねて来る。
 「先ほどまでは、意識を手放されてらっしゃったようですしね」
 悪魔にしては頭の切れそうな顔で、一応敬語を使いながらも美女に同意し、小さく鼻で笑う男。

 天使はもとより、悪魔達からすら恐れられている、魔界君主である自分に遠慮も何もない態度で接する2人の部下達に、少々機嫌を損ねたデュークは一つばかり睨みを利かせ、その場を後にする。
 残された部下達は、表面的には呆れながらも必ず付いてくる。たぶん、地の果てまででも―――





 『小さなペガサスよ。そなたの仲間達と共に、部下達を・・・いや、親友と、そして私を救ってくれ。歴史を変えてくれ。』

 それは、魔界君主の心からの叫び―――










―――あとがき―――

 時間軸があちこちに飛び跳ねてる話が出来上がったよ(爆)
 一応解説すると、「シール設定18弾→ハピ☆ラキ世界→パンゲ偏」となっております。

 つか、さほど長くないこの話でアリババは、聖I、デューク、騎神の3つの形態で登場し、終いにはペガ(ワッP)の能力まで登場させるというありえない設定(^^ゞ
 ハピ☆ラキがドンドン進んでいけば、嘘っぱち設定になる可能性のほうが強い話なんですが・・・どうしても書いてみたくて見切り発進(爆)
 私の中ではまとば世界に若神子がタイムスリップしてしまうのは、虹突入(シール設定)、洪水飲み込まれ(アニメ設定)の直後と言うのが本格的に脳内占め始めまして(笑)
 ハピ☆ラキ4話により、若神子+十字架ちゃんが同時にタイムスリップできる可能性は「ヘブンシティー〜六魔穴」の間と、アニメ最終回のほんの少しの間しかないじゃん!
 だったらアニメ最終回(シール18弾)からのほうが神帝たちを救う手段があるわけでしょ?(笑)
 もう一つ、パンゲ後と言う考えも出来ますけど、あくまでアニメ〜アニメと言うことを考えれば最終回が一番私的には嬉しい♪

 タイムスリップを神帝隊で行わせると、それを可能にする能力を持つのがアリババということになって・・・でも聖Iはまだペガの能力は知らない。
 だったら未来のアリババを登場させるべし!ってなわけで、アリババとアリババの会話が発生するいきさつとなるのであった(笑)
 はじめはギガンタートルアリババにしようかな?とも思ったんだけど、ギガンタートルの場合だと普通に大地になってることを受け入れてそうだから、だったらデュークのほうが救ってほしいという願いを強く持っているだろう!と(笑)

 タイトルは「願い」
 それは誰の願いなのか?聖Iアリババか?デュークアリババか?
 つまりがどっちもなんですけどね(^^ゞ


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