最初にエイトに会ったのは私の故郷近くのリーザスの塔。サーベルト兄さんが突然亡くなって、悲しくて悲しくて一人になりたくて、それでいて一人になりたくなくてそんな矛盾から。。。夢でもいいから兄さんに会いたくてリーザス像に祈りながら泣いていたときだった。
 私を心配してくれたポルクとマルクに頼まれて、わざわざ塔を上ってきてくれたエイトとヤンガスを盗賊扱いしてしまった。
 あの時兄さんの思いを見る事が出来たのは、エイトの持つなにか不思議で純粋な心のおかげだったのかもしれないな。


 2度目にエイトに会ったのはポルトリンクの港町。兄さんの敵を打つためにどうしても船に乗りたかった私のワガママ聞いて、巨大な魔物をヤンガスと2人で倒してくれた。
 まるで虫も殺せないかのようなかわいい顔して、あっさりと魔物を倒したときには驚きを隠せなかった。だって、あの時はエイトはヤンガスのお付だと思ってたから。


 エイトは自分の事を進んで話そうとはしないが、私の話は良く聞いてくれた。サーベルト兄さんを思い出して眠れないときも何度も黙ってそばに居てくれた。「火の番がある」とか言ってたけど、私の事心配してくれてたんだよね。
 主であるトロデ王によると、エイトは若いのに優秀な近衛兵だそうだ。でもエイトはこういう話は喜ばない。
 普段はとても明るくてリーダーシップも抜群でそれでいて冷静沈着、みんなに気を遣いよく喋る。でも城での話をなんとなく避けてるように感じたの。主である王や姫、そして城を守れなかったからなのかな?でもなにか、それだけではないような気はしてた。
 ククールと言うなんともキザな仲間が増えても、そんなエイトは変わらなかった。でも、それくらいから何となく私気づいてた。エイトはいつも明るいけど、本心は見せてくれてない。それは良く言えば冷静沈着で頼もしいってことなんだけど。


 そんなエイトが取り乱したのはヤンガスの故郷パルミドでの出来事。馬の姿に変えられたミーティア姫が盗まれて売られてしまった時。
 顔面蒼白で一点を見つけたまま「・・・ミーティア・・・」ってつぶやいた。みんな大騒ぎで気づかなかったのかもしれないけど、私は見逃さなかった。あのいつも冷静でニコニコしているエイトが一瞬取り乱したのを。
 すぐにいつもの冷静さを取り戻したかのように見えたけど、姫が戻ってくるまでの間、一人になると腕組みして考え込んでいた。
 主である姫を守れないことは、忠誠心の強いエイトにとってはそれほどまでに落ち込む事なのかな?そのときはそんな風に考えてたけど、今思えばそれ以外の理由で落ち込んでるって考えたくなかったんだろうな、私。。。
 でも、そんなエイトを見てものすごく心が痛かったのは鮮明に覚えてる。


 たぶん、最初にあったときから私はエイトに惹かれてたんだね。恋愛初心者の私は自分の気持ちに気付くのが相当遅かったけど。
 気付いたときには同時に失恋した。
 不思議な泉で、ミーティア姫が人間の姿に戻ったとき。「申し訳ございません」と膝を突き震えた声で言うのを見て、エイトはミーティア姫が好きだったんだと悟った。
 「エイトはなにも悪くないわ」と優しく話すミーティア姫もたぶんエイトの事・・・好きなんじゃ・・・ないかな・・・。
 そして、私はそんなエイトが好きなんだとようやく分った。


 失恋ってこんなに辛いものなんだ。。。初恋ってこんなに苦いものなんだ。。。
 せっかく人間の姿に戻ったミーティア姫には悪いけど、私喜べないよ。ミーティア姫は私の知らないエイトをたくさん知ってる。しかも清楚でおしとやかそうで。。。私には勝ち目なんてじゃない。めったに神に祈るなんて事はしないけど、今日ほど神を恨んだ事はない。
 もう、エイトとミーティア姫を見ていられなくて、泉を後にして来てしまった。私がいなくなったのエイト気付いてくれるかな?・・・気付くはずないか・・・。
 さっきまで必死に抑えていた涙、エイトが見えないところまで来たら急にぽろぽろ流れてきて止まらなくなった。


 「マイハニー。声を殺してなくのも女性の魅力を引き立てるが、泣きたいときには大声で泣いたほうがすっきりするってものさ」
 ククール!!!今、エイトの次に見られたくない奴に見つかった。どうしよう。
 「なに言ってんのよ!目にゴミが入っただけよ」そんな私の言い訳通じるわけもなかった。
 「エイトが好きなんだろう。あの光景は刺激的だな」
 「あんたなんかに私の気持ちがわかるわけないでしょ。いっつもいっつも綺麗な女性を見るたびにいやらしい事考えてるあんたなんかに、私の気持ちがわかるわけないでしょ」
 あまりの怒りに、この場で言うにはあまりに不条理なことまで、怒鳴ってしまった。いくらククールに対してでもこれ以上言ったら傷つけてしまう。でも止まらない。止められない。叫んでいないと大声で泣いてしまいそうだった。
 そんな私の心を知ってか知らぬか、ククールは私の頭をポンポンと2回ほどたたく。驚いた拍子に私は一瞬の沈黙の後大声を出して泣いてしまった。しかもよりによってククールの腕の中で。。。



 気付いたらもう朝だった。エイトが心配そうに私に言う。「めまい起こしたんだって?普段でも戦闘でも助けてもらってるけど、ゼシカは女の子だもんね。なんにも気付いてあげられなくてごめん。」良く聞いてるとククールがみんなには疲れがたまってめまいを起こしたって説明したらしい。
 それにしてもエイトはなんてお人よしなんだろう。エイトは何にも悪くないのに、ただ責任感じてあやまってる。それがエイトの良い所なんだろうけど。
 なんか、昨日思いっきり泣いたからかな?少しスッキリした。
 ま、ここはククールの奴に感謝しておこうかな?






++後書きと言う名の言い訳++
 ククゼシも推奨派の私ですが、やっぱり主姫が〜〜〜!!!と言うか、主人公が大好きです。なので、なんていうか主人公はみんなに好かれててほしい。←おいおい(^^ゞ
 っていうか、それもあるんだけどククールに最初に会ったときのゼシカの印象って相当悪いと思うんですよ(^^ゞ
 それでも、ゲームの終盤でゼシカはククールの手を素直に受けているシーンがあったりなんで、ククゼシってお似合い!とか思ってるんです。
 でも、あの二人の性格考えるとゼシカにとってはキッカケがなければククールを意識する事なんてないと思うんですよ。
 ま〜、そのキッカケを私なり考えたのが今回のこの話です。
 


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