カリスマと呼ばれ、どんな事にも臆する事がないと思われがちな俺だが唯一苦手な事がある。
いや、苦手といえば語弊があるかもしれない。
今にして思えば、昔から唯一、他には何も要らないと思えるくらい求めていたんだ。
それが手に入らないから拗ねた振りして、怒られてでも罵倒されてでも自分の事を気にかけてほしかったんだ。
俺にとっての兄貴はそんな存在だった。
なのに兄貴は俺を付き放し続けた。
オディロ院長が殺され敵討ちの旅に出ろと言われたときのショックはでかかった。俺は兄貴の傍に居る事すら許されなくなったのだから。兄貴に怒られる事すら出来なくなったのだから。
でも兄貴が俺を恨むのは当然なんだよな。
俺が生まれてきたから兄貴はドニの街を追い出された。
そんな事も知らずに俺は修道院に行っちまった。
俺と言う存在が兄貴をドニから追い出したように、兄貴にとっては俺と言う存在が修道院での生活をも奪うと恐れる事は自然な原理だろう。
俺は1度ならず2度までも兄貴を追い詰めてしまった。
許してくれなんて都合の良い事は言えねぇよな。どんな酷いこと言われても仕方がないんだよな。
だけど、忘れられねぇんだよ。
初めて修道院に行ったあの日のことが。。。
怖くて怖くて仕方がなかった小さな俺に初めて声かけてくれた兄貴の事が。。。
優しかったんだ、俺が名乗るまでは。あの優しさが忘れられねぇんだ。
いくら酷いこと言われても兄貴を恨めなかったのは、あの初めてあった日の優しかった兄のおかげだ。
本当の兄貴はあの優しい兄貴なんだろう。俺と言う存在が兄貴の人格すら変えてしまったんだな。
だけど、どんな姿でも良い。生きててくれよ。俺はあんたを求めて生きてきたんだ。
あの時は気付いたら身体が勝手に動いてた。自分も一緒に崖の下に落ちるとかそんな事は気にならなかった。
今まで、俺への憎しみがあんたを動かす原動力だったんだろう。
だからとっさに口を出た。「虫ケラみたいにに嫌っていた弟に助けられ、惨めに生き残れ」
いくらでも俺を憎めよ。だから生きててくれ。どんなに惨めでも情けなくてもいい。俺のたった一人の兄貴には変わらねぇからさ。
願わくばあんたに一言謝りたいが、今の傷ついたあんたには俺が謝罪なんかしたら生きる原動力を無くしちまいそうで怖い。
だけどいつかは言わせてくれよ。いつか兄貴を探し出して言う。
許してくれなくてもいいから、謝らせてくれよ。それまでは生きててくれな兄貴。
生まれてきてごめん。修道院に行っちまってごめん。俺の身勝手であんたの命を救っちまってごめん。
++あとがき++
ゴルドイベント後のククールの気持ちと言うことです。
自分で書いてて言うのもなんですが切ないね〜。。。
今、TOPページでマルチェロ絡みのアンケートを取らせていただいてますが、これが私なりのククールのマルチェロへの思いです。
オディロ院長が殺されるシーンでククールが「兄貴」ってマルチェロに駆け寄るシーンを見た時からククールはマルチェロを嫌いじゃないんだと思ってたんですが。。。
ゴルドでククールがマルチェロに「初めて会った時やさしかった」と告白するシーンに涙しました。
これを見てククールは兄を嫌いじゃないどころかずっと求めてたんだな〜ってジ〜〜〜ンとしたんですよ。
ちなみに今回のこの話ではククールはマルチェロに謝りたいと思っていますが、ククールはなんにも悪くない。
生まれたことも、修道院に行った事もククールのせいではないです。
でもククール自身はそれを自分のせいだとずっと責めてきたんじゃないかな?と私は思ってたりもします。
っていうか、毎度のことながらお題に沿ってないねぇ〜(^^ゞ「
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