トーポことグルーノの話が終わったときエイトは無表情で俯いていた。

 元々感情豊かとは言えないエイトであるが、これほどまでに感情がない表情をするのは仲間達は始めてみた。

 気遣うような仲間達の視線に気付いたのか、途切れ途切れにエイトは言葉を発しはじめる。

 「オレはおじいさんに謝ってもらわなければならないほど不幸ではありませんよ。」

 痛々しいながらもどうにか笑顔を向けるエイトの口調は落ち着いていた。

 「トロデーンでの生活は幸せでした。陛下も姫もトロデーンの人たち全てが優しかったから。それは常に傍に居てくれたおじいさんは分ってくれると思います。」

 祖父グルーノの語る自分の正体には正直驚いたし、ショックも大きい。

 しかし、だからと言って自分と言う人間が変わるわけではない。

 真実が分った喜びもある。悲しい結末ではあったが。。。

 「オレがトロデーンで呪いにかからなかった理由がこの里にあるのなら感謝こそすれ憎む事など出来ません。」

 「だから顔を上げてください。こんなオレを見捨てないでいてくれてありがとうございます。」

 床に手を付きエイトに謝罪しているグルーノの瞳には光るものがあった。

 罵られることを覚悟していたというのに予想外なエイトからの謝辞に驚き目を見張りながらグルーノは顔を上げる。

 「父や母がどのような方なのかは分りませんが命を与えてくださった事感謝します。父と母が与えてくれた命を必死に守ってくださったおじいさんに感謝します。生きる希望と勇気を与えてくれた陛下や姫に感謝します」

 そういうエイトの表情は吹っ切れたようなすがすがしい笑顔だった。


 




++あとがき++
と言う事でお題3つ目勇気です。
どこら辺が「勇気」?と思うんですが(^^ゞ
初めうちはもう少し勇気と言う感じを強調するつもりだったんですが、ドンドンそれました〜!!!
ま〜いいかと思ってこのまま行きます。
ただ、この話はいつかは書きたいな〜と思っていた話だったので、そのうちもっと長い話にするかもしれません。
言うまでもありませんが、竜神族の里で主人公の正体をグルーのさんが話している場面です。


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