久しぶりの野宿。
 現在の見張り役のエイトとククールは、眠気覚ましのために他愛もない話に花を咲かせていた。





 「・・・そういえばよ。前々から聞きたかったんだが」
 ククールは突如何かを思い出したように自らの疑問を口にしようとする。
 「なに?」
 「正直、あの緑の魔物が本当に王様ってのも未だに信じられないんだけどよ。お前のトロデ王への接し方とか見てると本当に王様なんだと信じるしかねぇんだよな。」
 ククールが旅の仲間に加入して、もうかなり経つ。
 はじめのうちこそ、一行と距離を持とうとしていたククールも最近では、仲間たちとも打ち解けてきている。
 エイト、ヤンガス、ゼシカのみならずトロデ王とも、かなり仲良くやっているように思っていたエイトにとっては、しみじみ語られたククールの発言に、正直驚いた。
 「何をいまさら?陛下は本当にすばらしい王様だよ。あのようなお姿になってもね。」
 「いやいや、別に馬鹿にしてるわけでも驚いてるわけでもねぇよ。」 
 尊敬するトロデ王のすばらしさを力説しそうになっているエイトをククールはあわててとめにかかる。
 普段、仲間の意見ばかりを優先して己の意見をあまり口にしないエイトだが、トロデ王とミーティア姫が如何ほどにすばらしいかを語るときだけは饒舌となる。
 眠気覚ましも兼ねて会話を欠かさないようにしているとはいえ、何度も何度も聞かされた話をもう一度聞くのは正直勘弁願いたいククールだ。

 「で、その尊敬してやまないトロデ王にヤンガスなんかと一緒にいさせてもいいわけ?」
 「ヤンガスなんかってどういうこと?そりゃ、お世辞にも見た目がいいとはいえないけど」
 意味がわからないといわんばかりに多少むっとしたエイトに、ククールは説明を始める。
 「いやいや、ヤンガスなんかという表現もどうかとは思うんだけどよ。なんつーか、ヤンガスって遠慮ってもんをしらねぇだろ。」
 まだ、なんとなくご機嫌がよくないエイトに苦笑いを浮かべながらククールは話を続ける。
 「ヤンガスだけでなく、まぁ俺もゼシカもだけど、トロデ王に対する態度は少なくとも一国の王様への態度じゃねぇだろ。特にヤンガスとは頻繁にケンカっつうか漫才っつうかを繰り広げてるだろ。」
 なんとなく合点のいきかけたエイトは恒例になりかけている、トロデ王とヤンガスのやりとりを思い出しているのか、口元にはわずかに笑みを浮かべている。
 「忠実な家臣のエイト君にとっては、そういうの見てて、陛下に対して失礼だとか思わないのかな?と思うんだよな。」

 やっとククールの言いたいことを理解したエイトは少しばかり考えてから、ゆっくり口を開く。
 「う〜〜〜〜ん。なんていうのかな?一言で言うと陛下が楽しそうだから良いかなって。」
 「・・・おいおい」
 本当に一言でまとめたエイトにククールは少々呆れ顔だ。
 「そりゃ、初めはドキドキしてたよ。陛下って昔からユニークな方だけど、周りはあくまでも陛下として敬ってたからさ。君たちから王様扱いではなくて、うまく言えないけどそういうので結構楽しんでると思う。城があんなことになって陛下も落ち込んでるからさ・・・。君たちと接することで楽しそうにされてるの見るとオレも楽しいしね」

 トロデーン国王は、エイト曰くユニークなのだろうけど、この城の兵士も負けじとユニークだと心ひそかにククールは思う。
 自国の王が、王様扱いされていなくとも「楽しそうだから良い」で片付けてしまう人間が兵士だとは苦笑いが出るばかりなのだ。


 「では、これからも遠慮なくいかせて頂きます。」
 わざとらしいくらいに、かしこまり礼をするククール。
 厳格でいて裏では色々あった僧侶の生活とか鑑見て、王も家臣もなんとなくのんびりしているトロデーンを少々羨ましく思う気持ちは心の奥底にしまいこみながら・・・

 「・・・うん。ククールもゼシカも敵討ちと言う明確な理由があるにも関わらず、何かと陛下や姫を心配してくれる。オレはそれがすっごく嬉しいし、陛下も気づいてるよ。」
 そう言ったエイトは、口に人差し指1本をあて、いたずらっ子のように目を細める。
 これから話すことは誰にも言ってはいけないよ。目はそう語っていたようで・・・





 ―――陛下はみんなこと頼りにしているよ―――








++あとがきと言う名の言い訳。。。っていうか解説++
2年以上ぶりのドラクエ8更新になります・・・ドラクエ8に限らず更新自体が1年半ぶりです(げふんごほん)
本当にお久しぶりでございますm(_ _)m見てくださってる方はおそらく相当少なくなっているとは思いますが・・・自己満足でも復活嬉しいです。
時は既に2010年で、ドラクエ9も発売され半年がたっておりますが、やっぱりドラクエ8が大好きです。
トロデ王もエイトもヤンガスもゼシカもククールもミーティアも大好きです。

復帰作は短いですが・・・
エイトとククールの野宿時の会話です。
前々からエイトくんはヤンガス他がトロデ王に(一般的には(失礼な態度を取っているというのに、何か思うところはないのかな?って思ってたんですが、今回はその私に疑問をククールに替わりに聞いてもらいました(笑)





小説目次へ







Photo by.空色地図

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送