リーザス村始まって以来初めてトロデーン国王夫妻が揃って出席した盛大な結婚式から数ヶ月がたっていた。 その式で夫婦の誓いを立てたのは、リーザス村のククールとゼシカだ。 以前は村の女性にだれかれ構わず声をかけてはゼシカの放つ炎で焼き尽くされていたククールと言うなんとも過激なカップルであった二人だが、今はそれが嘘のようにおしどり夫婦となっていた。 ククールが他の女性に手を出さなくなった本当の理由は本人しか知らないが、廻りは夫婦の誓いはさしものククールにも自覚を与えたと見ているのであった。 ゼシカは大きな、今にもはじけそうな胸を隠しもしない恰好をいつもしていたが、その実、結構堅物だった。 カップルなら誰もがやりたいと思う夜の生活。 彼女は式まで一切やりたがらなかったのだ。 ククールにとっては、それが大きな不満・・・もとい不安だったのだ。 それが全てではないものの、欲求不満と言う切実な話と、全てを自分にゆだねてはくれない彼女への不安。 そんなこともあいなって、女性へ声をかけるという行為だった。 もちろんゼシカと付き合い始めてからは女性に声をかけるだけであって、夜の生活は共にすることはなかったのではあるが。 そんな感じだったゼシカが今はどうだ。 ククールは思う。色っぽいったらありゃしない。 そのあまりの艶のある唇にむさぶるように自分の唇を当てる。 ・・・当てるだけでは当然気のすむわけはなく、舌を入れその感触を確かめるのが毎晩のお決まりとなっている。 待ち焦がれていたようにゼシカはその舌に己の舌を絡ませて、熱い熱い口付けを、その後はいつものように人には恥ずかしくて言えない行為に移ろうとしたときだった。 が、ククールが彼女の大きな胸を露にしようとしたとき、突如ゼシカはククールの胸を押し、その腕から逃れるように洗面所へと向かう。 「・・・おいおい、そんなに俺のキスが嫌だったのか?」 洗面台にもたれながら苦しそうに胃の中のものを吐き出しているゼシカにククールは少々の嫌味をこめた言葉を吐きながらも、明らかに戸惑ったような心配そうな表情で彼女の背をさする。 苦しさから口も聞けないでいるものの、涙で頬を濡らしながら必死にゼシカは首を振る。そうじゃない。嫌ではないと必死に――― 最近彼女が疲れているような感じがしていたことはククールも薄々気づいてはいた。 しかし式が終わってからまだ日が浅く生活が変わったことや、母アローザから領主の心得などを必死に教わってるため努力家のゼシカは根をつめて勉強していて、その疲れなのだと深く考えてはいなかった。 次第に元の元気なゼシカに戻ると疑ってもいなかったのだ。 今、この力なく苦しそうに洗面台にもたれかかってる彼女を見ながら、ククールは自分の安易な考えを責め始める。 気づいたときにすぐに医師に診せるべきだった――― そんな彼の気持ちが伝わったのか、小さな声で吐き出すように「心配しないで」そう告げた。 ククールは大分落ち着いたゼシカをそっと抱き上げベットまで運び横たえさせてやる。 そんな彼の顔をゼシカは目の端に捉える。その表情は暗くてよく見えないものの、顔面蒼白と言った感じに見て取れる。 どれだけ自分が彼を心配させているのかがわかり、居た堪れなくなるものの、そんなククールはめったやたらに見れるものでもなく、少し微笑ましいようなそれでいていたずら心も沸いてくる。 確かに苦しいことは苦しいのだが、そんな風に心配してもらうことではない。 ―――むしろ喜んでくれること――― そこまで考えて笑いがこみ上げる。 くすくすと小さく笑うゼシカにククールは驚いて、「早く寝ろ」と忠告する。その声は本当に情けない声音で。 さすがに悪く感じ始めたゼシカは、それでもまだもったいぶって「・・・あのね」と切り出した。 ―――たぶん私のお腹に赤ちゃんがいるの――― そう告げたときのククールの顔をゼシカは一生忘れないだろうなと頭の片隅で感じた。 「なに口半開きにしたまま固まってるのよ。情けないわね」 あまりの表情にいつもの調子を取り戻したゼシカは悪態をつくものの、ククールのほうはそれでも現実世界に戻ってくる気配はなく。 「・・・俺の頬、つねってくれ」とおどおどと言う始末。 本当に情けないと苦笑いを浮かべながらもここぞとばかりに思いっきり、その白くつややかな頬をつねるゼシカだった。 痛いと言いながら、笑顔で部屋を歩き回っているククールはまるでおもちゃを与えられた子供のようで、ゼシカは苦笑いするのだった。 「なぁ、男かな?女かな?」 やっと落ち着きを取り戻したククールは、やたらと気の早いことを問い始める。 「男だったら俺に似て美男子だろうし、女ならゼシカに似て美人だろうな」 一人で盛り上がり始めたククールはそこではっとなったようで頭を抱える。 「女の子だったら俺みたいな男に引っかからないようにキチンと教育しないといけねぇな。絶対に嫁になんかやらねぇぞ」 先ほどの呟き以上に気の早い親ばかぶりにゼシカはあきれ果て、「俺みたいな男」に引っかかった自分はなんなのだろうと考えながら、まだぶつぶつといい続ける彼を置いて、夢の世界に誘われるのだった。 ++あとがきと言う名の言い訳・・・っていうか解説++ 微妙・・・ 本当の事言うと書きたかったのは、ラスト数行のククールの気の早すぎる親ばかぶりだったりする。 つまりが前おき長っ!!! しかも私の人生初の年齢制限を設けた話だというのに、全て前置きなんですけどね(^^ゞ いやでもね・・・こういう報告って明るい所でするよりも、なんか二人だけの雰囲気って感じのところでのほうがロマンチックに感じるんですよね(^^ゞ もちろん(?)私自身は妊娠したことないので実際は分からないですがね・・・ と言うことで、色々間違いとかあったらごめんなさい(^^ゞ ところでさ・・・ どこからがR12で、どこからがR15で、どこからがR18なのか私あんまり理解してないんですけど・・・ これはR15くらいでいいんだよね???(不安) ちなみに相変らず題名思いつかなくて。。。。適当(^^ゞ |
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