「我が城の図書室にならば、この船の事を書かれている書物があるかも知れぬ」
きっかけは、トロデ王の一言だった。
憎きドルマゲスを追うにはどうしても船が必要で、せっかく見つけた古代船はなんと荒野の砂漠の上。
旅の一行にはこの船を海まで運ぶ手段は到底思い付かなかったのである。
トロデーンの貯蔵書の数は数え切れないほど多い。しかし、いくらたくさんの本があっても砂漠にある船を海に戻す方法が書いてある確率は低い。
挙げ句、今のトロデーンは茨の呪いに犯されて、貯蔵書が無事である保障はまるでない。
それでも一行は藁にもすがるような思いでトロデ王の言葉に従うしかなかった。
ヤンガスは「エイトの兄貴が10年もの間過ごした城は憧れてる」と少々テンション高めである。
世界有数の美しい城と言われているトロデーンを拝めると、ククールやゼシカも悪い気はしていない。
しかしトロデーンに向かう事が決定したあたりからエイトだけは、どこか上の空といった表情が多く見られた。
トロデ王とミーティアはエイトの気持ちを察していたらしい。
普段なら決して言わないような冗談まで言って場を明るくしようとするトロデ王の姿があった。ミーティアもエイトに鼻を押し当てたり気を遣っているらしい。
エイトはそんな主君の気を遣った態度に、いつもどおり振舞おうと努力しているものの、やはりどうしてもふとした拍子に何処か彼方を見たような表情になっていた。
「なに?これ」
茨に包まれ城門すら開かなくなってしまっているトロデーン城を見て絶句した。
「ゼシカすまぬが、この城門の茨だけでもおぬしの魔法で焼いてもらえぬか?」元々茨に包まれている城を知っているトロデ王はいたって冷静に声をかけた。
「え?あっうん。わかった。やってみるけど、私の魔力じゃこの城門の茨を焼くのが精一杯。城の茨全部を焼く事なんて出来ないからね」
城門の茨はゼシカのも魔法で焼ききれたが、城全ては出来ないと言うことに申し訳なさを感じると共に、トロデーンが呪いにかかってる姿を始めてみた3人は予想以上の惨状に言葉すら出てこない。
不真面目僧侶のククールまでもが、一心に神に祈りをささげていたくらいなのだから。。。
元はとても綺麗だったと思われる中庭までたどり着いたとき、無意識なのだろうがエイトは足を止めた。
茨に犯された一人の兵士の前だった。
エイトは恐る恐る手を差し出して、その兵にさわる。茨の棘で次々と手から血が流れ出ているのにも気付いていない。
「エイト。おぬしはここでミーティアと共に待っておれ。」
トロデ王はエイトを振り向きもせずに言う。驚いたのはエイトである。
「陛下、何をおっしゃいます?城の中には魔物もでますし、城に慣れている私が行った方がよいと思います。」
「ワシが3人に城を案内するからよい。だが馬となったミーティアを一人残すわけには行かぬ。ワシの城じゃワシは中に入らねばならぬ。そなたはミーティアを守れ。命令じゃ。」
もちろん今のエイトの精神状態を気遣っての言葉であるが、エイトにとっては命令と言うのが一番効果が高い事はトロデ王は良く知っていた。。
「王様、ホントにエイト置いてきて良かったの?」呪いで身動きすら取れなくなっている兵士の前でトロデ王が立ち止まったのを見て、気遣わしげにゼシカが訪ねる。ヤンガスやククールは無言のままだ。
「この兵はな、エイトの同期の兵でな、とても気の会う親友じゃったトムと言う兵士じゃ。先ほど中庭にいた兵はエイトを心底慕っていたピピンと言う兵だ」
恐怖に顔をゆがめたまま、茨にまとわりつかれている兵を寂しげに見つめながらトロデ王は言葉を発し、一呼吸おいた後続ける。
「こんな姿になった親友を見せるのはしのびないと思わぬか?エイトは強がって見せていても、まだまだ子供じゃぞ」
ふう、と一つため息をついたトロデ王は、こんなことなら西の教会に置いてくればよかった、と付け加えた。
そのころエイトはミーティアが傍に居ることすら忘れているかのように、無言で表情は厳しかった。
ミーティアはそんなエイトを見ていられなかったのだろう。ヒンと一鳴きしたかと思うと城門のほうに向かう。
ミーティアの鳴き声にはっと我に返ってエイトはミーティアに続いて歩き出した。ゆっくりと歩を進めるミーティアにエイトは話しかける。
「姫、申し訳ありません。姫にも陛下にも気を使わせてしまいました。しかし・・・」
そこで言葉を切ったエイトに少しだけ表情が戻る。そして、笑顔ながらも寂しげな表情で続けた。
「私はこれで結構割り切って考える事が出来るようになりました。さすがに城の惨状を目の当たりにするのは辛くございますが、自分だけでも無事で良かったと考え始めました。
旅を始めた頃のエイトは痛々しさを感じるほど自分だけなんともなかった事を悔やんでいる雰囲気すらあった。
しかし最近はプラス思考に考えられるようになっているようだとミーティアは感じていた。
それでもトロデーンであの惨劇を見て、また落ち込むのではないかと考えてミーティアは今のエイトの言葉に心底安心したのだろう。
エイトは、馬になったとは言えミーティアの表情から心情を察する事が出来た。そんなミーティアに感謝を込めて鬣を撫でた。
―――私はもう大丈夫です。必ず姫や陛下、トロデーンを救って見せますから―――
++あとがきと言う名の言い訳・・・っていうか解説++
なんなんでしょうね(^^ゞこの文章。。。
私の頭の中にはかなり前から構想自体はあったのに文章にするのに2ヶ月近くかけてしまいました。。。
というか、これが私のドラクエ8小説第1作目になる予定でした。
しかしあまりにも文章表現がうまくいかず、諦めて違うシーンを書いていたらドンドン後回しになってしまいました。
結構ほかがスムーズに書けていたので(笑)。
しかし、私の中では処女作なんでどうしても仕上げたいと、どうにか頑張りました〜!!!
だけど、やはり苦労の連続で支離滅裂&イミフメイのような気が。。。
読んでくださった方にも読みづらいだろうな〜とは思います。なんせ2ヶ月もかかると最初と最後で既に表現が違うんだもの。。。
でも、どうしても書きたかった内容ではあるので申し訳ないですが、そこら辺をご理解下さい〜!!!
さてさてお詫びしてばかりもなんなので、この作品事態について少々語ります。
早い話が古代船の事を調べるためにトロデーンの図書館に行く話です。
茨に包まれたトロデーンには当然ながらエイトの友達、同僚がいるわけでそういうのを見るのは辛いだろうな〜!と言う気持ちから生まれた話です。
私の中ではトロデ王やミーティア様は精神的に結構頼もしいと思うのですが、エイトって結構もろいと思っています。
トロデ王やミーティアはエイトののその精神的もろさを分っているので気を遣ったりするという事です。
ちなみに途中で名前を出したトム&ピピンという兵士は、当初は名前はありませんでした。しかし先に書き上げてしまった「出会いから」で思いっきり兵士に名前をつけてしまったので、こちらでもそのほうが良いかな?と考えてここでも登場と言う事にしました。
「出会いから4」の後書きでも書いていますが、トムの名前の出所はドラクエ6のレイドックの兵士長、ピピンはドラクエ5のグランバニア兵から頂きました。
Photo by.空色地図
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